INTERVIEW

パンクって、胡散臭く思われたほうが勝ちじゃないですか
何も肯定してないし否定もしていない。現代っ子ぽいのかな

MEMBER:猪俣ヨウスケ(Vo) 星野サトシ(G) 平野“JUDY”ケイタ(G) 小石トモアキ(Dr/Vo)
TEXT:高橋美穂

シビアな現実を見据えた上で笑い飛ばすような歌詞と、ストレートなメロディーながら何処かささくれたロックンロール。ライヴでは、全員がぶつかり合うように激しく動いたり、フロアでギターを弾きまくったりと、引くか惹き込まれるかはそれぞれだろうけれど、誰にも流されないインパクトを持っている。インタビューも、そのまんまの正直で強烈な内容。横須賀のドクターダウナー、注目せずにはいられない!

音源を聴かせていただいて改めて思ったんですけど、今、いそうでいないバンドだなって。

猪俣 俺もそう思います(笑)。必ずしも狙ってないわけじゃないんですけど、突拍子のないものを狙ってるわけでもないっていう。どっちかっていうと、何でみんなやらないんだろう?って思ってる感じですね。まぁ、基本的にJ-ポップなんですよね、メロディーとか。でもやってることはJ-ポップじゃないから、ありそうでなかった感じなのかな。

確かに、楽曲は日本語詞でキャッチーだけど、ライヴを見てると、一瞬にかける熱量が凄まじくて。パンク的な側面を感じますからね。

猪俣 俺はパンクのつもりでやってるんですよ!(笑)逆にパンクじゃないかなって感じかな。見た目はパンクじゃないじゃないですか。
小石 皮ジャン着てないし。

猪俣 でも、そうやってパンクだってやったって、パンクに思えないんですよね、僕は。パンクが何かを変えるものだとしたら、パンクみたいな格好をしてやるのはパンクじゃないんですよ。そこは音と姿勢でパンクをやろうかなって。……そんな重くないんですけど(笑)。最終的には、楽しくやれればいいってところに行き着くんですよ。それはネガティヴな意味じゃないですよ。楽しければ他は関係ないみたいなことじゃないし。
今のヘルシーだったりポジティヴな音楽に対するアンチテーゼを感じるところもあったんですけど、ここには思考や人柄も出てると思いますか?

猪俣 それは俺、100%正直にできてると思います。っていうことは、正直にできてない奴がいると思ってるんですよ。……そういうことはあまり言いたくないですけど、だからアンチ的なものを感じたんだと思います。そんなにストイックではないですけどね。チッタでワンマンもやりたいし、フジロックのグリーンステージにも出たいし。

でも、そのために時代や周りに迎合したりはしてないですよね。ちゃんと個性があって。

猪俣 それって当たり前だと思うんですよね。他の人を真似したって意味は無いんですよ……とか言っちゃうけど(苦笑)。常に本気になりたくない感じはあります。っていうか、本気のなり方を忘れた(苦笑)。曲を作ったり演奏は全力でやりますけど、どっかで客観的には見てるっていう。

そうやってヒネくれてるようでいて、サウンドはストレートなインパクトがありますよね。

猪俣 ロックが好きだからです。俺はレッド・ツェッペリンが好きなんですけど、ハードロックって視覚のインパクトじゃないですか。歌ってることとか気にならないし、それでいいと思うんですけど、俺は俺で歌いたいこともあるから、インパクトとヒネくれてる部分を合わせた感じなのかも。

もともとパンクってキャッチーだけど歌詞はヒネくれてるものだったから。

猪俣 それが伝わってれば本望です(笑)。俺は超パンクって思ってるんで。……これだけ言っておけば胡散臭いって思ってもらえるかな(笑)。パンクって、胡散臭く思われたほうが勝ちじゃないですか。歯向かうとかじゃなく、肯定しないことがパンクだと思うんですよね。このCDも何も肯定してないし。ただ否定もしてないんですよ。現代的な感じなんじゃないですかね。モダンな(笑)。
平野 モダン・パンク?(笑)
猪俣 これが最新パンクだぜ!とか言うつもりはないですけど(笑)、現代っ子っぽいと思いますよ。20代半ばとか。アルバム・タイトルの“26”っていうのは、僕が26歳だからなんですけど。昔の曲とかやりたくないんですよ。今と歌ってることが違うから。だから、このアルバムもしばらくしたらやりたくなくなります。尾崎豊も、死ぬ間際とか「15の夜」とかやりたくなかったと思いますよ(笑)。

確かに。猪俣さんにばかり話を聞いてますけど、ライヴでは他の皆さんも相当個性が強いですよね。

平野 ボーカルだけ見るバンドじゃなくて、みんなを見るバンドだと思いますね。
猪俣 俺しか見てねぇよ、みんな(笑)。
平野 全員そう思ってるし、こいつ(星野)は、俺も見てほしいと思ってる(笑)。
猪俣 こいつ(小石)は、デイヴ・グロールになりたいんですよ。

目指したいんですか?

小石 目指したいっていうより、なりたいんです。

なるほど。あと星野さん、喋ってないですね。

平野 でもライヴは、星野のボーカルも出そうと心掛けてますよ。
星野 もともと違うバンドでボーカルやってて。だからちょっと歌ってるんですけど。
平野 星野が歌うとこでシンガロングだもんね。
猪俣 そんなことねぇよ!(笑)

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